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話しは少し飛ぶが、2019年の2月にドリアーノ・デローザの初来日が実現したことは皆さんの記憶に新しいだろう。

-これまで自分のキャリアは日の目を見るものではなかった- と過去に述べていたドリアーノが、初めて訪れた日本で脚光を浴び、大勢のファンに温かく迎え入れられた経験は、彼の人生において重要なマイルストーンとなったことを願ってやまないが、そのドリアーノは、彼を迎えに行った空港の到着出口から出てきた姿を見ると、いつもイタリアからフレームが届く際に梱包しているものと同じ、大きくて平べったな段ボール箱を手にしていた。

この時、例のラグドフレームを小生にも内緒で作り上げ、持ってきたのである。

 来日前の2週間は寸暇を惜しんで製作に励んだという。 30年以上も離れていた、ろう付けの作業に悪戦苦闘もしたことだろう。 
ペイントが間に合わず、裸のフレームであったが、それが幸いし、結果的にはハンドメイドバイシクル展のブースに展示したこのフレームを見た多くの来場者が、ドリアーノのろう付けによるフレームの仕上がりの美しさを、感嘆や賛美のまなざしで鑑賞し、高く評価してくださった。

-さすがに、ドリアーノはろう付けでフレームを作らせても、その腕は大したものだ-

そんな評価を受けることへの期待もあれば、生半可な出来のフレームは持っていけない。 
彼がそう考えたからこそ、寸暇を惜しんで苦労して製作したとしたら合点がいく。